50年ほど前に建てられた、岡山県産矢掛石のお墓の外柵の建て替え工事。開放感ある明るいお墓へ、鳥取県北栄町の集落墓地にて

倉吉市、北栄町、琴浦町をはじめ、鳥取県中部にてお墓・石材のお仕事をさせていただいております景山石材です。今回は、鳥取県北栄町の集落墓地にて、岡山県産矢掛石のお墓の外柵の建て替え工事をさせていただいた様子をご紹介いたします。

 

【北栄町集落墓地で外柵の建て替え工事 墓石本体:岡山県産矢掛石】

 

今回は、先代のころからのお客様です。50年ほど前に先代が建てさせていただいたお墓の外柵の建て替えをご相談いただきました。

 

こちらが施工前のお墓です。お墓本体、墓前灯篭ともに、備中青御影と呼ばれる岡山県産の矢掛石で作られたお墓でした。この頃に鳥取県の中部で作られたお墓は、この矢掛石で作られたものが多く見られます。墓石建立時、同時に外柵をブロックにて設置されたようですが、50年近く経過して外柵のブロックの経年劣化が進んでおり、新たに御影石で外柵を施工することをご希望でした。

 

いつもきれいにお参りされていることが伝わってくるお墓で、矢掛石の墓石は傾き等もなく、まだまだ使用できる状態でしたのでこのまま使用することになりました。そうすることで、費用も抑えることができます。

 

現地でお墓の状態や墓地の立地等を確認し、お客様のご希望を伺って、設計図をご提案しました。今回は、現地がなだらかな丘にあって左右で高さの違いがあるなど、設計上考慮する点がいくつかありました。墓石と周囲の高さ、風による砂の移動なども考慮して、できるだけ左側を持ち上げ、右側は見えない程度になんとか持ち上げるという形をとり、採用していただきました。
また、今回は巻き延石による外柵をご提案しました。周囲を高い壁で囲むことによる圧迫感を減らすことができ、使用する石も少なくなるので費用面も抑えることができます。

工事の工程については、まずはブロックの撤去をします。その後、周りの高低差を確認して中の砂をすきとり、外柵の施工に取り掛かりました。外柵は基礎工事をして延べ石を据え付けていきます。

 

完成しました!

お墓の手前には、以前はコンクリートのお参り部分がありましたが、今回新たに敷き石を3枚敷きました。お客様がご希望された明るい色合いの玉砂利を敷いて、以前と比べてとても開放感のある、明るいお墓に仕上がりました。

 

お墓本体です。簡単な水洗いをしています。一番下の台 四つ石は、この部分は別物だという昔のこの地方の考え方で、このあたりで採れた安山岩で作られています。柔らかくて加工のしやすい石で、かつてはこの石でたくさんお墓も作られていましたが、その後硬い御影石の加工技術も進んだために、丈夫で耐久性のある御影石でのお墓の建立も多くなりました。このお墓が立てられた時期が、ちょうどその過渡期にあったことをうかがわせるものです。こちらも、簡単に掃除をしました。

 

塔婆立てとお線香立ては、お客様のご希望で新調しました。お線香立ては何パターンかご提案させていただいた中からお選びいただきました。お墓本体と同じ矢掛石で作成するとご予算的に難しいところでしたので、色合いの近い中国産の青御影石で作成しました。お線香立ての内部の白いものはガラスビーズで、この部分にお線香を立てます。これも、かつては浜の砂をとって来て入れたりしていたのですが、最近はこちらをおすすめしています。ステンレスや金属のお線香立てよりたくさんお線香を立てることができて、汚れてもきれいにすることができます。内部に水がたまらないように底が抜いてありますので、その部分を取り外して水道のところまで持って行き、米を研ぐ要領で洗って灰を落としてきれいにします。

 

完成したお墓をお客様には喜んでいただけたのですが、この数年後、周辺から枯れ葉や砂が飛んでくるのがやはり気になるということで、再度、外柵の上に玉垣の施工をご相談いただきました。また当店にご依頼いただけたので、ご希望通りに施工させていただいて、お参りしやすくなったとお喜びいただけました。

今回は、傾斜地にあるお墓の外柵工事でした。お墓全体を持ち上げるなど、少し大掛かりな工事も選択肢としてはありましたが、できる限りお客様のご希望やご予算に叶うよう、的確なご提案をしてご満足いただくことができました。設計の際、せっかくの御影石の外柵が見えなくなってしまうのはもったいないし、かといってあまり石が多すぎても費用がかかってしまうし・・・という部分は悩むところでもありましたが、お客様にとって一番いい方法を考えて、ご納得いただいた上で工事を進めることができました。今後も末永く、大切にお参りいただけるとうれしく思います。