山の上にあるお墓を、倉吉市内の寺院墓地へ移設。磨き直しで本来の色合いを取り戻した岡山県産矢掛石(備中青御影)のお墓

倉吉市、北栄町、琴浦町をはじめ、鳥取県中部にてお墓・石材のお仕事をさせていただいております景山石材です。倉吉市にて、岡山県産矢掛石(備中青御影)のお墓の移設と磨き直しをさせていただきましたので、ご紹介いたします。

 

倉吉市 磨き直し・移設 岡山県産矢掛石(備中青御影)のお墓

 

知人の紹介で、お墓の移設をご相談いただきました。お墓がお参りに行きにくいところにあるので、移設を検討されていました。

 

こちらがご相談のお墓です。岡山県産矢掛石(備中青御影)で建てられた、伝統的な和型のお墓です。
写真ではわかりにくいですが、実は山の上まで、道なき道を進んでいくような場所にありました。お客様は、歳をとってお参りも大変になってきたから、お世話になっているお寺様の墓地を求めて移設したいとお考えでした。このあたりの40年以上前のお墓には、こうしたお参りには大変な場所に建てられたものもたくさんあります。最近は、そのころに建てられたお墓をお参りしやすい場所に移したいと移設をお考えの方も多いです。

 

こちらが今回新たにお求めになった墓地です。広さは以前に比べると小さくなりますが、お寺様の墓地なので近くに車を停めることもでき、水場が近くにあったり、普段はお寺様が見てくださるということもあって管理もしやすかったりと、安心してお参りができる環境です。

お客様は今回、お墓の石はそのままに、不足している部分を追加して移設をご希望でした。また、備中青御影のお墓本体と灯篭はずいぶん色あせてしまっていましたので、この機会に全体的に磨き直すことをご提案して、お見積り等を差し上げました。お客様もご了承くださって、早速工事に入ります。

 

移設先のお寺様墓地での工事が始まっています。まずは、外柵の基礎を施工しました。奥行きが小さく、幅のある形状の墓地です。

 

中央の真四角の部分は納骨室の下にあたる部分で、土のままにしています。左右の木枠は水抜きのスペースです。境内墓地なので、前後左右に迷惑がかからないよう、きっちりと枠を組んで施工します。

移設前のお墓は、お経をあげていただいてご遺骨を取り出してから取り外し工事を行いました。山の上にあるお墓ということで、大きな機械やトラックを横付けして作業することはできません。ですので、様々に工夫を凝らしてなんとか傷をつけないように運び出しました。取り外したお墓は工場へ持ち帰って磨き直し、必要な部材を作成して移設に備えます。

 

移設完了です。

大きなお墓に対して奥行きがギリギリだったので、お墓本体と外柵を一体化したような形で設置しました。灯篭も、外柵の角の部分に乗せるような形になっています。墓誌は、ご希望で新設しました。

 

全体的に磨き直し、正面文字は深く彫り直しました。家紋は磨き直したうえ、白色を入れ直しています。また、水鉢の奥に香炉を新しく同じ石を使用して作成しました。以前はお墓の手前に置いておられましたが、今回は墓地の形状から手前に置くことができませんので、このような設計にしました。経机型の供物台も兼ねています。四ツ石も今回新しく作成したものです。

岡山県産矢掛石(備中青御影)は、とても硬い石として有名です。機械で切削すると火花が飛ぶくらいの硬さで、破片を叩くとキンキンと高い音がします。ずいぶん色があせた状態でしたが、磨き直したことでツヤや色合いも本来のものを取り戻し、同じお墓とは思えないくらいです^^

 

棒灯篭です。こちらも磨き直して、前後の枠は新しいものに交換しました。

 

お客様には、「お参りしやすくなってよかった」と喜んでいただきました。お客様ご自身は、色の褪せた状態でお参りをされていたことに気づいておられなかったのですが、本来の色合いを取り戻したお墓には、きっとお参りに来られた方も驚かれたのではないでしょうか?^^

今回のお墓に使用されていた岡山県産矢掛石(備中青御影)は、岡山県小田郡矢掛町で採掘されている石です。美しい青緑の色合いが特徴で、とても硬くて吸水率も低く、耐久性に優れた石です。この辺りでも、特に昭和40年代の半ばから昭和の終わりくらいまで、この石でたくさんのお墓が建てられました。ただ、長い間に今回のように色あせてしまっているものもありますので、当社では移設や追加彫刻などの機会に磨き直しをすることをご提案し、色合いを取り戻したお墓を喜んでいただいています。移設に際してお墓を新しくすることも選択肢ではありますが、代々受け継いできたお墓をよみがえらせて受け継いでいくのも素晴らしいことです。ご希望に応じて様々なご提案をさせていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。